舞村そうじ(RIMLAND)

道徳の教科書といえば評判が悪いけど、小学生の時に読んだ印象的な話がある。とある村で長く務めた村長がせめて老後は故郷でと引退することになり、村人は今までのお礼に特産のワインを贈ろうと決めた。一人がグラスに一杯ずつワインを持参し、樽を一杯にする。だが中には不心得者もいる。…言うまでもなく「樽の中身は真水でしたとさ」という結末だった。 僕が街頭で見てきたものは違う。特定秘密保護法や安保法制・共謀罪に反対し、雨の中コールする人々、プラカを持って立つ人たちを何度も見てきた。これでいいのかと迷うことも、立場の違いや内輪で起こる反発もあったろう。失望し心が離れた人も居るだろう。それでも「許さない、なんて敵意むきだしの言葉で賛同は得られない」「お行儀よく整列してる日本のデモはダメだ」正反対の批判に挟まれながら、それぞれグラスに一杯ずつ、本物のワインを運びつづけた人たちを、僕は心からリスペクトする。 気負う必要はないけれど、少しだけ胸を張ってもいいと思う。日曜日、樽を本物のワインで一杯にしよう。